お正月の朝

我が家のお正月の朝は、毎年、私が、お雑煮のダシを引く事からはじまります。
お雑煮は、代々当主が作ることになっているのですが、修行から帰った翌年に、「今年からお前が作れ」と父親から言われ、なぜだろうと思いながらも、それから、毎年作っております。

言われてから15年、薄いや濃いや言われながらも、毎年作り続け、一昨年、社長を交代する頃には、もう何も言われなくなりました。
何も言われないということは、いいということなのかと、つまり、当主になる頃には、ちゃんとしたお雑煮が作れるようになるための助走期間だったのかと今になって思います。

さて、お雑煮ですが、鰹節と昆布でとったダシに白味噌をといて、淡口醤油味醂で味を整え、鰹節を入れて、漉します。
具の金時人参は、丸く剥いて日の出に、大根は、亀甲の形に、丸餅は焼かずに、父親と私は頭芋、その他の人には、海老芋を用意します。

お雑煮の準備が整うと、31日の大晦日に座敷や調理場の各出入口、かまどやボイラーなどの火の気のあるところ、蔵やトイレなどに、“ちょろけん”と呼ばれる小さなしめ縄をかけた下に、星付きのお餅(小さな鏡餅)とゆずり葉にのせたお雑煮を供えます。
今年の星付きのお餅は、子供たちが丸めました。
まだまだいびつですが、それも、何年かたつと、見栄えよくなってくるものです。

お供えものが出来たら、一つ一つ、店の中を30ヵ所ほど回って、お供えをしていきます。その後、神棚にお灯明を供えて、柏手を打ちます。

ここまでは、家内と私の2人でします。

そのあと、家族親戚みんなで、仏壇にお灯明を供えて、手を合わせ、「明けましておめでとうございます」の挨拶のあと、大福茶(梅干と昆布の入ったお茶)、お酒、おせち料理をいただき、中ほどでお雑煮を食べます。

食べ終わった後は、お墓参り(年始のご挨拶)に伺い、氏神さん(鷺森神社)に、初詣にむかいます。

毎年変わらぬこの行事で、我が家の1年が始まります。