日本料理ラボラトリー研究発表会

我々の所属する日本料理アカデミーと京都大学の先生方とで
毎月一回、研究会を行っております。

この日は、1年間の研究成果の発表会が行われました。

場所は、京都大学内 理学研究科セミナーハウス。




参加者は、料理人、研究者、食品メーカーや生産者の方、行政からも来られていて、
80人を超えていました。


今回のテーマは、「アク」と「期待感」

発表者
「アク」について
大和学園 宗川先生、直心房さいき 才木氏、美濃吉本店竹茂楼 佐竹氏、
瓢亭 高橋氏、木乃婦 高橋氏

「期待感」について
修伯 吉田氏、菊乃井 村田氏、竹林 下口氏、たん熊北店 栗栖氏、
なかむら 中村氏

それぞれ自身の考えを発表され、それを具現化した料理が
試食で提供されました。


私が試食したのは、10種類ある内の4品の試食。

村田さん、中村さん、瓢亭の高橋さん、宗川先生の料理でした。


発表の内容が試食をすることでより鮮明に伝わり、
とても面白かったです。

我々が、無駄だと思って取り除く「アク」を「アクは悪か?」という問いかけで、
アクをしっかり残して調理された宗川先生。
見た目は、きれいではありませんでしたが、明らかにアクをとったものよりも
サバの味噌煮がおいしく仕上がっていました。(右下)

同じく「アクを楽しむ」というテーマで、しっかりとそれぞれのアクを残し
再構築した新しい筑前煮。スープを飲みながらあんかけをした野菜を食べるという
新しい筑前煮を作った瓢亭の高橋君の料理も斬新で面白かったです。(右上)

「期待感」ということで、生の茄子に見えるように調理した田楽風茄子を使い、
驚きで期待感を表現された村田さんの料理。(左上)

それに対して、ストーリーで「期待感」を煽った中村さんの
「にしんと刻み昆布の焚いたん」も、中京区で食べられている
昔からの料理なのに、我々は全くその料理を知らず、話を聞いて、
食べてみたいと興味が湧きました。(左下)

10人の発表はそれぞれにおもしろく、すべて試食したかったのですが・・・。


あとに発表された京大農学研究科のグレッグ氏の講演では、
京料理らしさ、京料理の線引きは何かという問いかけに、
我々料理人は、ハッとさせられました。


最後の講演は、味の素の川崎先生。

今回の研究発表の成果を明快に説明されて、
京料理における「アク」のもつ意味合い、
「期待感」のもつ意味合いが、本当によくわかりました。



講演が終わった後は、発表された方々を交えての交流会がありました。
新しい知識、新しい考え方がとても勉強になり、有意義な一日でした。


平八茶屋公式ホームページ http://www.heihachi.co.jp/