広河原の松上げ

8月24日は、広河原の「松上げ」。

「松上げ」は、花脊(はなせ)、広河原(ひろがわら)、久多(くた)、小塩(おしお)、美山(みやま)、雲ヶ畑(くもがはた)など、京都の北部、洛北から若狭にかけての山間の村々に伝承されて来た、愛宕(あたご)信仰による献火の行事です。

長い年月の間にいつしかお盆の送り火とも接合し、お盆に迎えた精霊を送る「送り火」とともに、「火難除け」や「五穀豊穰」の祈願のために行なわれております。
「松上げ」とは、松明(たいまつ)を上げるという意味です。


午後8時頃、灯籠木場(とろぎば)と呼ばれる平地のぐるりに立てられた数百の「地松(じまつ)」へ一斉に点火されると、いよいよ火まつりの幕開け。幻想的な雰囲気が漂い始めます。

中央にそびえる高さ20メートルほどの巨大松明「灯籠木」をめがけ、土地の男衆が火縄状になった手松明をぐるぐると弾みをつけて投げ上げます。漆黒の空に無数の火の玉が飛び交い、一つ、また一つ、炎が弧を描いて飛んでいきます。

やがて、渾身のひとつが灯籠木の先の大笠に届くと、それを目印にひとつ、またひとつ。虚空の火は次第に勢いづき、その燃え盛るさなか、火の塊となった大松明はどうと地響きをあげて倒され、「松上げ」はクライマックスを迎えます。